FM-1グランプリ開催中です。応募締切は8月末、10月末、11月に発表です。
FileMaker選手権2020の結果がついに公開されています。サイト上では「2月中旬の発表」とされていましたが、結果は3月中旬となりました。
実質的に事務局を運営しているのは1人であったとページ後半の「FileMaker選手権 2020の舞台裏」明かされています。1人で運営できたのもClaris Connect、FileMaker Cloud、Dropbox、mailgunを連携して業務を効率化していたからだそうです。この辺の仕組みは色々と参考になりそうです。
レビューした結果で受賞作品が決まっていると思うのですが、内容についてのコメントが無いので勝手にレビューして設計まで踏み込んでコメントします。
ファイルがダウンロード出来る
開発未経験者部門
審査員特別賞
エンジニア経験者部門
について順番に記事を公開していきます。ちょうど4作品ずつになります。
評価基準
FileMaker選手権2020の評価基準は当初から提示されていました。
下記内容です。
デザイン:使いやすく、見やすいデザインか
技術正確性:エラーが起きないか
機能多様性:課題解決のための機能は揃っているか
創意工夫:新しい発想かどうか
新技術の利用:新しい技術を取り入れているか
個人的には4が一番難しいかと思います。
受賞作品
受賞作品は下記4つ。金賞はMacBook Pro、銀賞はMacBook Air、銅賞はAirPods Pro。
金賞:カジカン(作:963)
アプリの概要についてはちゃんとヘルプページが用意されていますので、こちらを見れば解るようになっています。
みんな大好きいらすとや。
定期的にやらなければならない家事たち
このアプリで完結するタイプ
QRコードを印刷しておく
iPadのカメラでQRコードを読み込めばURLスキームでファイルとスクリプトが起動
家事をしたことになって音声データ再生
次のスパンの日付で通知設定
設計
シンプル。実質1テーブル。
QRコード
QRコード生成に株式会社ジェネコムさんのサンプルファイルが使われている。
QR コードを FileMaker Go で作成 【fmQRcode】
総評
構造的には非常にシンプル。家事という問題に対して通知と達成感味わえる音声。FileMaker Goを開いてアプリを立ち上げてタップするという手間に対して、QRコード生成とURLスキームで対処している。
音声データを好きなものに変更できるので、色々楽しめそうですね。
銀賞:おなかすいたの?(作:観光ビジネスBチーム)
北海道斜里町の飲食店が解るアプリ。
作ったのは北海道斜里高等学校の高校生。
北海道斜里高等学校
このアプリで完結するタイプ
iPhoneクライアントが前提
アプリ起動時にオリジナルキャラクターが登場(頭からスプーンとフォークが生えてる鹿)
検索履歴のお店一覧が初期表示
画面遷移はフッタ部
評価順でブックマーク画面
アプリの説明画面では英語表記へ切り替え可能
設計
構造はシンプル
総評
北海道斜里町の方か、北海道斜里町へ行く予定がないと使いにくいアプリではあるが、データ作成と開発で分業出来るので複数人数で行うFileMaker開発の企画として優秀。キャンパスプログラムでこの題材は使えそう。
中のデータは食べログベースかと思いきや、公式サイトがある店はちゃんと公式サイトへのリンクになっている。ちゃんと調査している。
店の写真はファイル名を見る限りは自分たちで実際に撮りに行っているように見える。居酒屋も多いが、営業時間中に撮影している(夜の営業中の写真)。
残念な点はファイルプションのアカウントと開くアカウントが一致していないのでアカウント&パスワードを入力しないといけない。また、画面のズーム設定がロックされていないので拡大してしまう。ただ、この点は老眼対応であえてしているのかもしれない。
銅賞:100masu&100wari(作:roromich)
百ます計算をiPadで行えるようにしています。手書きではなくiPadでやる意義も作者のブログで解説されています。
作者のブログ
実際にやってみましたが、頭が全く回らないですね。昔は公文をやっていてそれなりに速かったのですが・・・。
このアプリで完結するタイプ
アドオンは
アクティビティタイムライン
カレンダーヒートマップ
を使用している。
使い方が上手い。
問題のバリエーションも掛け算、引き算、ランダムと色々ある。
問題終了後に間違った問題を署名機能を使って練習させる機能があるのが面白い。
ヘルプ
ヘルプはWebサイトを参照+レイアウトに表示。
「キーボード操作」タブのヘルプがGIFアニメで表現されていて、この表現は解りやすくて良いなと思いました。よくゲームの設定画面に小さい動画で解説しながら文章が横に出ている感じです。ただ、残念なのはiPadだと動かない点。確かWebビューアを使えば出来たはず。
設計
リレーションは大きめ。アドオンは一番下にまとめている。
総評
作者のブログで「20年ほど学習塾の経験」と書いてあるので、現場での問題から出てきたカスタムAppなのだろうと思います。まさに日々の業務の問題を解決するためのツールですね。
結果の記録を上手いことアドオンを使って見せているので、それが子供のモチベーションになるのでしょう。
残念なのは全体的に画面が整理されておらず、機能が解りにくい点です。また、アンカー指定が出来ていないので真っ黒な空間が出来たり、ズーム設定もロックされていないので拡大されてしまいます。
UIを改善するだけでもっと上の賞も狙えたのでは・・・。
銅賞:家計簿(作:ナオ)
非常に丁寧に作られた家計簿アプリ。iPhone、iPad用のレイアウトを別に作っている。
FileMakerの標準グラフを使っている。
あまり納品物として標準グラフは使わないですが、完成しているアプリを見ると、悪くないなと思いました。
iPadレイアウト
iPhoneレイアウト
このアプリで完結するタイプ
使うならiPhoneの方が入力しやすいかな。
設計
シンプルで教科書通りの設計。Good。
iPadとiPhoneのレイアウトを作るということは手間が倍になるということ。同じ様な画面を2つ作るのはモチベーション的に大変だったと思います。
初心者が教科書通りに作ったと思いきや、iPadとiPhoneのレイアウト切り替えに取得関数を使ってJSONで値を渡してレイアウト名を動的に生成している。ここだけプロっぽい技。
総評
非常に完成度が高いアプリですが、テーマ的新規性が無いのが残念な所。AppStoreで家計簿アプリなんてたくさんあるので。
繰り返しますが、完成度は高いです。画面も設計も。
気になる点はレイアウト名を動的に生成して遷移する所でPCの場合は想定されていないのでパソコンで動かすと画面遷移しません。
ですので、スクリプト「U_レイアウト切替_ALL」の5行目を
Case (
Get(デバイス) = 3 ; "iPad" ;
Get(デバイス) = 4 ; "iPhone"
)
↓
Case (
Get(デバイス) = 4 ; "iPhone" ;
"iPad"
)
とすればPCの場合はPadの画面へ遷移してやれば良いかなと思います。
これだけ丁寧な仕事が出来るならFileMaker開発者として十分やっていけるのではないでしょうか。
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